『隠れ家』
梅原 さくら

いつも探していた

それはいつかの喫茶店
それはいつかのファーストフード店

少し背(せい)伸びをしたひととき

それは夕暮れの墓場
それは夕暮れの裏山

夕暮れだけが赤かったあの頃

それは寂れた居酒屋
それは寂れたライブハウス

暗闇に紛れて溶けてしまおうと

いつも探していた


あたしが
らしく
しないでいいところ

しないでいられるところ

あなたが知ってるあたしと
あなたが知ってるあたしと
あなたが知ってるあたしは
どれも全部ちがくって
どれも全部あたし

あたしらしい

あたしの知ってる
あたしは
あなたと出会って
あたしらしい何かへ

あたしはあたし
そうしていられるところを

いまだに

さがしてる