皆様、明けましておめでとうございます。
早いもので、2021年も過ぎ去り行く過去のアカシアとなろうとしています。私は今、大晦日の紅白歌合戦を横目に、この文をつづっております。
早いものと申しますと、この週刊文学文芸Webサイトも、1995年に発足して27年になろうとしています。
思い返せば、発足当初は原始的な掲示板とCGIによる投稿システムを設置し、誰もがフロントエンドで投稿できる自由な表現の場として開始したのが、この「週刊文学文芸」でした。
広いインターネットの、ほんの一角にできた、小さな星です。
今も輝きは失われていないものの、光の速さで膨張する宇宙に全くもってついて行けず(行かないの?行けないの?)、本当にさらに僅かな、微小たる一角となってしまいました。
掲示板は荒らしに遭い、リレー小説は頓挫し、ローマへと通じる筈のポータルは次々と閉鎖の憂き目に遭い、ブログサービスやSNSが乱立し、Googleのアレクサンドロスの如き確固たる征服に曝され、或いはシャンバラの如く追放されても、その魂だけは頑なに失わず来た27年です。
繋ぎ止めているのは年間日本円にして5000円程度の、トンガ・ニックへのドメイン料と、何度も何度もヤサを変えてきた格安のレンタルサーバ代金。
微々たる広告収入が発生した時期もありましたが、これらのほんの僅かな維持費でさえ賄えませんでした。
2011年に高木弥生の詩作発表の場として再開したのは、今思えば本当に切れかかった一撚りの糸でありました。
延々10年間余、タッタ一人の詩人による発表が続きました。この間、一貫して手書き原稿をスキャンし画像データとしてアップしテキストを残さないという表現手法が使われました。
そして2021年、新たな転換期が訪れます。専属執筆の作家を増やしたのです。現在、行灯真昼先生、塔島ひろみ先生、梅原さくら先生と、3人の作家を迎える事ができました。
今年2022年には、一体ここで、何が起きるのでしょうか。
多分この小さな光が、宇宙の隅々にまで届くには、無限光年と一瞬に、共通の揺らぎが存在する事になるでしょう。
そこには実体として語れるものが無いかわりに、それらを語り尽くすドーナツ型の森羅万象が在るのです。
偶然と必然とは表裏一体です。結果は形として現われます。現象は因果です。常にサイコロは振られ、どの瞬間にも決定している不確定な原因の判明しない結果。それが偶然です。無限にも大小があるように、偶然にも大小はあります。範囲を狭くする物理的な確率向上には、実は何の効力もない。効力のあるものはタッタひとつ、そう、輝きの大きさのみです。
祈りつつ。
2021年12月31日午後11時30分
週刊文学文芸編集長 記
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